絆が欲しい。
肉親のように安心できるだけのものでなく。
友情のように時間と共に薄れたり移ろいだり他と比較されるものでなく。
恋のように一方的で不安定なものでなく。
甘美でそれでいて安心できて揺らぎないもの。
何者にも奪い去られないもの。
なのにそれを保つために自分を努力へと駆り立てるもの。
なーはそれを得たことがない。
一度もない。
他人に愛され、必要とされている実感がない。
なーが愛されている実感があるのは母だけだ。
なーは眠りのなかで、いつも、愛され、必要とされることを求めている。
でも、夢は夢にすぎない。
いつも目覚めると消えてしまう。
確証がほしい。
自分が生きていい。そして、生きていける確証が。
夢のなかの感覚を、いつも引きずっている。